脂質異常症という言葉を耳にされたことはありますか?
健康診断で脂質異常と言われたという経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
脂質異常症とは、血中に溶けている悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が多い場合(140mg/dL以上)や中性脂肪が多い場合(150mg/dL以上)、または善玉コレステロール(HDLコレステロール)が少ない場合(40mg/dL未満)を言います。
原因は食習慣や運動不足と言われ、放っておくと脳梗塞などの脳疾患、心筋梗塞などの心疾患、動脈硬化などの血管疾患などを引き起こします。
ではどういったお食事をすれば改善できるのでしょうか?
一般的には、中性脂肪が高い方は糖質制限食、LDLコレステロールが高い方は脂質制限のお食事をおすすめします。
では、糖質制限と脂質制限はどういったお食事なのでしょうか?それぞれのメカニズムや何をどれだけ食べたらいいのか、などをみていきましょう。
中性脂肪が高い方向けには糖質制限
糖質制限とは、糖質(ご飯、パン、麺類など)の摂取を制限することによるダイエット法です。
では糖質を制限するとどうして痩せるのでしょうか?
そのメカニズムを見ていきましょう。
糖質制限ダイエットのメカニズム
まず、糖質を食べると、血糖値が上がります。
この血糖値上昇を下げるために体内ではインスリンという物質が分泌されます。
このインスリンは、余ったブドウ糖を中性脂肪に変えて、脂肪細胞に蓄えるという働きを持ち、さらに、すでにある脂肪の代謝を抑制する働きも持っています。
つまり、インスリンの過剰分泌はダイエットには大敵と言えるでしょう。
そこでこのインスリンの分泌量をできるだけ抑え、脂肪燃焼&脂肪蓄積の抑制を図ろうというのが糖質制限ダイエットです。
また、糖質制限を始めると、口からの糖質摂取量が減るため、必要なブドウ糖の供給は脂肪とタンパク質からまかなわれます。(このメカニズムを糖新生といいます)この糖新生によってさらに脂肪が燃焼されてダイエット効果が上がるのです。
糖質制限のお食事の目安量
では糖質制限のお食事は何をどれだけ食べれば良いのでしょうか?
ここでは注意点と目安量をお伝えしようと思います。
まず、注意点ですが、制限した糖質の代わりにタンパク質、脂質、お野菜類を多めに摂取します。
特に不足しないように配慮が必要なのが、体を守るために必要なタンパク質と、代謝に不可欠なビタミン、ミネラル類を含むお野菜です。タンパク質は手のひら(指を除く)1〜2つ分程度、お野菜は両手にいっぱいの量が目安となります。
脂質は良質な油を摂るように心がけましょう。ω3系の脂肪酸を含む油がオススメです。
アマニ油やえごま油などが当てはまりますね。
LDLコレステロールが多い方向けには脂質制限
脂質制限は血中コレステロールをあげてしまう脂質をカットしたお食事のダイエット法です。
油を構成する脂肪酸は、常温で固体の飽和脂肪酸(牛脂、ラード、バターなど)と、常温で液体の不飽和脂肪酸(ω3系脂肪酸:えごま油、魚油など、ω6系脂肪酸:サラダ油、コーン油など、ω9系脂肪酸:オリーブオイルなど)に分類されます。
ω3系脂肪酸に分類されるえごま油や魚油にはLDLコレステロールを低下させる働きがあるとされていますので、お肉のお食事が多い方は、魚料理に代えていくなどして、ω3系脂肪酸を積極的に摂取するように心がけたいですね。
LDLコレステロールを下げやすい食品
青魚、大豆製品、えごま油、アマニ油、海藻など
HDLコレステロールを上げやすい食品
脂身の多い肉、ポテトチップス、バター、チーズなど
脂質制限のお食事のポイント
市販のドレッシングを止めて、ω3系脂肪酸のえごま油で作ったドレッシングを使用する
ソテーを蒸し料理に変更する
目玉焼きや卵焼きを、ゆで卵に変更する
お肉の皮や脂身は取り除いて使用する
青魚を食べる回数を増やす
脂質制限の注意点
脂質は、肌を保護したり、脂溶性ビタミンの供給に必要であったり、便秘予防に役立ったりと意外にも重要な役割をたくさん持っています。
ですので、全く脂肪を排除するのではなく、ω3系の良質な油を摂るようにして、必要量は摂取してください。
また、ω3系脂肪酸は熱に弱い油ですので、加熱なしで召し上がるか、お料理の最後に回しかけたり、最後に合わせたりして工夫してくださいね。
まとめ
脂質異常のある方は糖質制限か脂質制限のお食事に慣れていかれることをお勧めします。
また、脂質異常がないという方でも、体作りの一環であったり、ダイエットをしたいと思われている方は、長く継続できて、自分に合っている方を選択することが重要です。
糖質制限でも、脂質制限でも、どちらでもダイエット効果はありますが、どちらを選択するかは「継続できそうだ」と思うほうを選んでくださいね。
ご自身に合った食事療法が見つかりますように。
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